1. いまどんな活動をされていますか?
現在は、「囲炉端会議」という、囲炉裏を用いた企業向け研修プログラムを行っています。
日本の伝統的な囲炉裏空間を舞台に、立場や肩書きを離れた“本音の対話”を促すことを目的にしています。火を囲むと自然と心の距離が近づき、普段の会議では出てこないような言葉や感情が生まれる。そんな「人と人が素に戻れる時間」を企業の中に取り戻す活動です。レモネード合同会社の亀井凱くんとともに、チームビルディングやウェルビーイングの向上を目的とした研修として展開しています。
また、「おむすび屋「結」(むすび)」というポップアップ型のおむすび屋も運営しています。
福島県・西会津町でつくられたお米を使い、「西会津と世界を結ぶ」という想いで活動しています。これまで新宿や日本橋などで出店してきましたが、現地で田植えや稲刈りも行いながら、お米づくりや文化そのものを学んでいます。
さらに、渋谷のSaaS企業に新卒で入社し、セールス職としても働いています。企業での経験を通して、文化活動を持続可能なビジネスに転換していく視点を磨いています。
2. その活動をしたいと思ったきっかけはなんですか?
根っこにあるのは、「日本の文化をどのように継承していくか」という問いです。
そのなかで、私が特に意識しているのは、都市で育った人にも“田舎”や“ぬくもりのある文化”と出会える機会を届けたいということです。
私は東京で生まれ育ち、自然や伝統文化に触れる機会があまりありませんでした。そんな自分にとって、福島・西会津との出会いが機転となりました。人のあたたかさ、四季の風景、地域に根づく暮らしの知恵——そのすべてが「日本の美しさそのもの」だと感じました。そして、ここで見た風景や営みを、次の世代にも残していきたいと思いました。
ただし、文化は「守る」だけでは続かない。
だからこそ、文化を“体験”として再構築し、現代の人が関わり続けられる仕組みをつくることを目指しています。囲炉裏やおむすびを通して、人と人が出会い直し、日本の精神や暮らし方を体感できる場を生み出しています。
3. 学生時代から起業されていますが、なぜそのようなことをしようと考えたのですか?
大学3年生のときに「株式会社あいづのあいつ」を設立しました。
社名には、“あいづのあいつだよね”と言われるくらい、活動を継続していこうという意志を込めています。
私は武蔵野大学アントレプレナーシップ学部の一期生として入学しました。ここは「起業が卒業要件」という非常にユニークな学部で、座学ではなく自分の手で価値を生み出すことが学びの中心です。1・2年次で多くの活動に挑戦し、そのなかで見えてきたのが「日本文化の継承を事業として成立させたい」というテーマでした。
起業とは、“自分の名前で生きていく”ことだと考えています。
誰かの看板の下ではなく、自分の信じるものを自分の責任で届けていく。その覚悟が、起業という形につながりました。文化を未来へつなぐというミッションを掲げ、今もその軸は変わっていません。
4. アントレプレナーシップ学部の好きなところを教えてください。
一番の魅力は「同期」です。
私たちは一期生として入学し、1年目は全員で寮生活を送りました。寝食を共にしながら、時には夜通し語り合い、時にはお互いの挑戦を支え合う。そんな関係性が自然と生まれました。教授との距離も近く、悩みを本音で話せる環境があったのも大きかったです。
仲間たちはそれぞれ異なる分野で活躍していますが、互いに刺激し合い、10年後・20年後にまた一緒に何かをつくる未来が楽しみです。
いま振り返っても、「この学部を選んで本当に良かった」と心から思います。
5. もしこれから起業をしたいと考える学生がいたら、どのようなことを伝えたいですか?
まずは「動くこと」です。
やりたいことが明確でないことも多いと思います。インターンに行く、イベントに参加する、人に会う、地域を訪れるなど、小さな行動の積み重ねが、自分の関心を形づくっていきます。
私自身、西会津との出会いも「おもしろそう」という直感から始まりました。行動すればするほど、出会いが増え、自分の“軸”が見えてくる。その中で、「自分は何をしたいのか」「誰を幸せにしたいのか」が自然と輪郭を持ちはじめます。
そして、やがて周囲を巻き込み、仲間が生まれ、ひとりではできないことが実現されていく感覚があります。
結局のところ、挑戦は“正解”を見つけることではなく、“動いた先で自分の正解をつくっていくこと”なんだと思います。


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